99セントオンリーストアとの別れ
私達の新婚生活の始まりは、ティッシュペーパーは贅沢でそのかわりトイレットペーパーを使うというような節約生活から始まりました。それが出発でしたから、その後の結婚生活もずっと倹約することが根底にあり、そのようなつつましい生活をしてきました。
ですから、2週間前にいつも愛用していた99セントオンリーストアーが財政困難で店じまいするという報道があったことはショックでした。99セントオンリーストアーは日本の百円ストアーと同じように、物によってはそれよりも高い物がありましたが基本は99セントでした。3年ほど前からは99セントのものは1ドル48セントになりましたが。西海岸のテキサス、アリゾナ、カリフォルニアの371の店舗が閉まることになりました。パンデミックに続いて採算が合わなくなったということです
このお店は高級スーパーのホールフードとは大違いで、お屋敷街の町にはありません。私の町にはあるのです。
このお店を私が愛用していたのは、野菜、果物がおいてあったこと。中で一番好きだったのは袋入りの人参でした。2ポンド(0.9キログラム)入りで1ドル48セント、Big Ginant というメーカーのものですが、ほかのどこのスーパーに置いてあるものよりも美味しいのです。
旬の果物が普通の食材店よりずっと安いのは、形がととのっていなかったり、普通の市場に出せない、なんらかの欠陥があったものを売っていたのかもしれません。
「宝探しのできるところ」と報道していたニュース解説もありました。 たしかにパーティーで使う紙皿やナプキンなどは専門店よりずっと安く手に入ります。
またこのお店に一歩入ると、クリスマス、イースター、サマーバケーション、ハローウイーン、サンクスギビングというように、今自分がどのシーズンにいるかがお店に並べられている品でわかる楽しさがありました。
報道があってから一週間たっていつものように、野菜と果物を買いにいくと、パーキングはいっぱい。カート満載に買い物をして出てきた人から、「棚にもう何もないよ」と言われました。
この写真の手前にあるジャガイモの袋だけが残っていました。このジャガイモの大袋もたった1ドル48セントです。
これから「安く良い物を買う」という私の趣味であり楽しみが奪われることになります。
「お店はいつまでオープンしているのですか?」と従業員にききました。「6月3日まで」
とその従業員は笑いもせず、ぶっきらぼうに答えました。彼も仕事を失うのですね。記事によると14,000人の人たちが解雇されるそうです。
残念に思っているのは私だけではないのでしょう。その後も再々テレビで報道され、完全につぶれた後、ここに代わるものを創設することを考えている人がいるという記事も出て来ました。
あー希望が出てきました。この世のものはすたれることはわかっていますが、お店の再建がなされ、またあの私の残り少ない人生の楽しみがかえってきますように。
竹下弘美